対人恐怖症・社会不安障害の方が森田療法で自己実現する方法
森田療法は、対人恐怖症や社会不安障害を解決する精神療法です。
森田療法で考える対人恐怖症・社会不安障害の方の原因は、自己実現が出来ないことにあります。
ですから、逆に言えば、自己実現出来ている状態であれば、対人恐怖症・社会不安障害にはならないということです。
対人恐怖症・社会不安障害の方が自己実現出来ない理由
人間には、欲望の二面性があります。
その二面性とは、自己実現欲求と逃避欲求です。
森田療法では、自己実現欲求と逃避欲求は、切っても切り離せないものであり、常に同時に人間の中に存在するものであると考えます。
つまり、自己実現欲求があれば逃避欲求もあり、逃避欲求があれば必ず自己実現欲求があるということです。
そして、対人恐怖症・社会不安障害に悩まれている方は、自己実現欲求ではなく、逃避欲求に従ってしまっている状態であるということです。
逃避欲求に従っているので、自己実現が出来ない状態で留まってます。
森田療法における自己実現
では、自己実現欲求に従えば、対人恐怖症や社会不安障害に悩まなくてもいいのかというと、そう簡単な話ではありません。
なぜかと言えば、対人恐怖症・社会不安障害の方が、逃避欲求に従っているのは、とても強い不安や恐怖があるからです。
そして、この強い不安や恐怖がある内は、自己実現が出来ないと考えているからです。
対人恐怖症・社会不安障害の方と、そうではない方の一番の違いがここにあります。
対人恐怖症・社会不安障害ではない方は、不安や恐怖がありながらも、自己実現をします。
不安や恐怖が自分にあることを認めて、不安や恐怖に駆られながらも自己実現していきます。
ですが、対人恐怖症・社会不安障害の方は、不安や恐怖を自分の中からなくしてから、自己実現していこうと考えます。
森田療法における自己実現は、不安や恐怖をなくすことではなく、不安や恐怖の存在を認めて、その上で自己実現していくという方法です。
森田療法で自己実現する方法
森田療法で自己実現するには、不安や恐怖をそのままにして、自己実現していくことが必要になります。
ですが、ここで注意点があります。
それは、自分の本当の自己実現についてハッキリさせないと、不安や恐怖をただ我慢することになるということです。
例えば、
・本当は仕事が嫌なのに、仕事で成功することが自己実現だと考え、不安や恐怖を我慢する
・本当は人に頼りたいのに、一人でやることが自己実現だと考え、不安や恐怖を我慢してしまう
こういったことが起こります。
ですが、これはある意味で本当の自己実現からの逃避です。
これもまた、自分の逃避欲求に従ってしまうことになります。
森田療法を実践するには、まず自分が本当に心からやりたいことや、理想をハッキリさせることが大切です。
そして、その次に今度は逃避欲求についてハッキリさせます。
実は、逃避欲求は邪魔なものや人生を制限するものではなく、自分の自己実現に必要なものです。
逃避欲求は、自己実現するにあたって、今の自分に足りないものを指摘してくれています。
自己実現から逃げる理由の中に、自己実現するために必要なことがあるのです。
このように自己実現欲求と逃避欲求をハッキリさせると、二つに分かれていた欲求が一つに統合されます。
すると、自己実現に向けて歩き出すことが出来ます。
自己実現欲求と逃避欲求は、いわば車のアクセルとブレーキです。
どちらも適切に機能していなければ、目的地にたどり着けません。
森田療法は、逃避欲求を消すのではなく、逃避欲求と自己実現欲求を統合することで、自己実現させていく方法です。
この記事は以上になります。