自臭症・自己臭症というのは、いわゆる神経症の一種です。
自分が臭いと思い込んで、対人関係や社会生活に支障が出てしまう症状です。
私は今でこそ、整体師やカウンセラーとして仕事をしていますが、元々は自律神経失調症や多汗症、不安障害、うつ病などで悩んでいました。
様々な症状の中に、自臭症・自己臭症がありました。
自臭症・自己臭症を体験克服した私の話
私の自臭症・自己臭症は中学生の頃からはじまりました。
部活を引退した、中学三年生の頃からです。
中学生の頃からはじまった自臭症・自己臭症
自臭症・自己臭症は急にはじまったわけではなく、はじめは何となく自分のニオイが気になる程度でした。
ですが、日に日に自分のニオイが気になるようになり、学校に行くと友人たちが自分のニオイを嫌がっていると感じるようになりました。
中学生にもなれば、異性を意識しだすころなので、誰でも自分のニオイが気になる時期です。
ですが、自臭症・自己臭症ともなると、人間関係や学校生活が困難になるくらい気になる状態です。
人のちょっとした仕草や行動が、自分のニオイが原因で嫌がっているように見え、私は人から距離をとるようになりました。
家に帰れば、家族に自分のニオイを確認してもらうことを毎日していました。
いくらニオイがしないから大丈夫と言われても納得できず、自分は臭いと思い込みました。
何とか治そうともがいた日々
自臭症・自己臭症を克服した今なら、当時の自分の状態がわかりますが、その時の私は、自分の状態や、どうすれば解決するのかがわからずにもがいていました。
私は、自分のニオイを何とかしようと様々な病院をめぐりましたが、「ニオイなんてない」の一言で終わりでした。
また、心療内科にも行きましたが、先生には症状を理解してもらえず、うつ病や不安障害の薬を出されるだけでした。
自分にあるはずの人から嫌がられるニオイがないと言われ、でも確かに自分にはあるように感じられる。
私は何に悩んで、何を解決すれば良いのか途方にくれました。
自臭症・自己臭症が治ったら多汗症に!?
自臭症・自己臭症に悩みはじめてから数年後に、私の自臭症・自己臭症は治りました。
いや、治ったというよりも、気になる対象が「ニオイ」から「汗」に変わったというほうが正確です。
ある時私は病院の待合室で、汗をかいている自分に気が付きました。
そして、汗をかいているのが周りのみんなに知られたら嫌だなと思いました。
すると、汗をかきたくないのに、汗が止まらなくなり、汗びっしょりになってしまいました。
これが私の全身性多汗症のはじまりです。
その後私は十数年の間、外出するたびに大汗をかき、常時かえのシャツを持ち歩かなくてはならない状態が続きました。
全身性の多汗症がはじまったと同時に、私は自分のニオイが気にならなくなっていることに気が付きました。
この時はじめて私は、自分がありもしない自分のニオイが気になっていたことがわかりました。
魔法がとけたようでした。
自臭症・自己臭症の原因と克服方法
自臭症・自己臭症の時には、絶対に自分のニオイが臭くて人に迷惑をかけているという確信がありました。
ですが、ニオイが気にならなくなってみると、なぜそんなに気にしていたのかがわからなくなります。
それほど、神経症の思い込みは強いです。
では、なぜ自臭症・自己臭症の時には、ニオイが気になってしまうのでしょうか?
自臭症・自己臭症の本当の原因
自臭症・自己臭症のやっかいなところは、実際に臭いニオイがするかしないかは関係がないところです。
私が全身性の多汗症になり、自分のニオイが気にならなくなった前後で、私の体臭に変化はありません。
自分のニオイは変化していないのに気にならなくなったということは、実際にニオイがするかしないかは関係がないということです。
また、実際に体臭の強い方でも全く気にしない人がいたり、
腋臭等の手術をして実際にはニオイがなくなってもニオイが気になる症状が残ってしまう人がいたりする、
ということもそれを裏付けています。
ですから、自臭症・自己臭症の本当の原因は、「ニオイがする」という部分ではなく、「ニオイが気になる」という部分に隠れています。
当時の私が、自分の体臭をなんとか消そうと頑張ったけれど、一向に事態が改善していかなかったのは、原因を間違えていたからです。
なぜニオイが気になるのか?
では、なぜニオイが気になるのかというと、人に迷惑をかけて嫌がられるからです。
そして、人に迷惑をかけて嫌がられると、人に嫌われて受け入れられなくなるからです。
私が本当に気にしていたのは、ニオイではなく「人に嫌われて受け入れられなくなること」でした。
逆にいうと、ニオイがしても絶対に人に嫌われることがなく、絶対に人に受け入れられるなら、私は自分のニオイが気になりません。
嫌われない、受け入れられるという条件の元であれば、当時の私もニオイを気にしません。
ということは、ニオイ自体が気になるのではなく、人に嫌われること、受け入れられなくなくことが私の恐れであり、自臭症・自己臭症の本当の原因でした。
なぜ多汗症になった時に自臭症・自己臭症が治ったのか?
ここまでくると、私が多汗症になった時に、自臭症・自己臭症が治った理由がわかります。
私にとって「ニオイ」は、人に嫌われて受け入れられなくなってしまう象徴でしかなく、その象徴が「汗」に移ったということです。
気になる対象がニオイから汗に移っただけで、私の本当の問題は一切解決していませんでした。
人に迷惑をかけてしまう自分・人に嫌われ受け入れられない自分
私の問題は、自分のことを「人に迷惑をかけてしまう自分」「人に嫌われて受け入れられない自分」だと思っていることにありました。
思っているとはいっても、普段は意識していません。
意識しているのは、汗が気になる・ニオイが気になるという部分だけです。
神経症だけでなく、対人恐怖症やうつ病、不安障害、パニック障害などの精神疾患の原因も、自分が意識していない部分に隠れています。
隠れているので原因が見つけづらく、ピンポイントで治療が行われないので、治りづらいと思われています。
この「人に迷惑をかけてしまう自分」「人に嫌われて受け入れられない自分」という思い込み・信念体系は、パソコンのOSのように私の考え方・行動の元になっていました。
このような思い込み・信念体系をコアビリーフと言います。
私が解決しなければいけなかったのは、コアビリーフの部分で「人に迷惑をかけてしまう自分」「人に嫌われて受け入れられない自分」と思い込んでいるということでした。
コアビリーフの成立
コアビリーフというのは、自分のことを自分でどう思っているのかという部分の根本にあるものです。
例えば対人恐怖症の人は、多かれ少なかれ「人に嫌われてしまう自分」であるというコアビリーフを持っていますし、
逆に社交的で人との関わりが好きな人は「人に受け入れられる自分」であるというコアビリーフもっています。
人に受け入れられる自分というコアビリーフを持っている人が、対人恐怖症になったり、
人に嫌われてしまう自分というコアビリーフを持っている人が、社交的で人との関わりが好きになることはありません。
では、コアビリーフはいつ作られるのかというと、そのほとんどは子供の頃です。
作った覚えもないのに、勝手にできてしまっているのは、自意識の薄い赤ちゃんのころから6歳くらいまでに、作られてしまうからです。
子供の頃の母親との関わりが、その後の人生に影響してしまうのはこの為です。
※子供の頃の母親との関わりが重要というのは、「毒親」「愛着障害」という言葉で最近は語られています。
コアビリーフの解体
コアビリーフを解体するというのは、「人に迷惑をかけてしまう自分」「人に嫌われて受け入れられない自分」という思い込み・信念を解体するということです。
コアビリーフは、その人の根本的な信念体系ですので、変えていくのはなかなか大変です。
私は、あるカウンセラーさんの元で、行いました。
自分の中にある自己否定してしまう思い込み・信念を見つけ出して、セラピーで癒すことを繰り返しました。
セラピーで癒すのは、否定的なコアビリーフには、否定的な感情がくっついているからです。
否定的な感情をなくさないと、否定的なコアビリーフは変わりません。
そして、私は自分のコアビリーフを解体し、今では病的に汗を気にしたり、ニオイを気にすることはなくなりました。
完全に否定的なコアビリーフを解体することは困難
ここで重要なのは、人並みには、汗やニオイが気になるという点です。
人は誰しも否定的なコアビリーフを抱えていて、人生をかけて癒しても癒しきることができません。
それほど、否定的なコアビリーフは根強いものです。
ですから、今の私の中にも否定的なコアビリーフが存在します。
そして、今も日々自分を癒し、コアビリーフを解体し続けています。
否定的なコアビリーフが解体されればされるほど、苦しみが軽くなり、自己実現ができます。
ですから、年々私は人生が楽になり、自己実現が出来ていっています。
今、いまいカウンセリングルームで、自分の経験を生かしたインナーチャイルドセラピーを行っているのもその一環です。
私の体験談は以上になりますが、この記事がかつての自分のように、自臭症・自己臭症にお悩みの方の力になれることを願っています。